| ■セセデ連続講座11月 - 日本の経済制裁
日本の敵対視と経済制裁 ![]() 今年7月、万景峰号の入港が半年間禁止された。また9月19日からは共和国に対する金融制裁も始まっている。日本は現在、共和国に対し「経済制裁」を発動中である。 1998年、共和国が人工衛星「光明星」を打ち上げた時、日本政府は共和国に対する制裁世論を高めた。日本政府は人工衛星を「テポドン」ミサイルだと主張し、マスコミを煽った。それにより「共和国=悪」という世論を作り出した。が、共和国を制裁するための明確な根拠や証拠が無かったため、つまり違法性がなかったため、日本政府は直接動けずじまいだった。日本政府が「現行法の最大適用」以上の制裁を加えられなかった原因もそこにある。 時は過ぎ2002年9月、朝・日首脳会談で拉致問題が発覚すると、大きく世論は動き出した。「平壌宣言」を履行しようと謝罪した共和国の誠意などお構いなしに、マスコミは拉致問題を取り上げた。日本政府は意図的に制裁を加えるために動き出した。しかし法治国家と自称する日本にとって、既存の法律では今以上の制裁を与えられない。より強い制裁を行なうためには、日本の現行法を変える必要があった。そこで自民党の一部議員たちにより「対北朝鮮外交カードを考える会」が発足され、二つの法案が成立した。既存の外為法を改正した通称「改正外為法」(2004.4.29)と「特定船舶入港禁止法」(2004.6.14)だ。この二つの法が、現在「対北朝鮮外交カード」と呼ばれている日本の外交策である。日本の経済制裁を知るためにはこれらの外交カードを注視しなければならない。 「改正」外為法と特定船舶入港禁止法 「対北朝鮮外交カード」の一つ、外為法(外国為替及び外国貿易法)とは一言で、外国との金や物の流れに関する法律のこと。第1条で対外取引は原則自由であることが明記されている。日本は共和国に金や物が流れることを防ぎたいのだが、元来の外為法では対外取引は原則自由なのでどうすることも出来なかった。ただ、この自由も一定の場合、ある国との取引を許可・承認制に切り替えられる(経済制裁=取引を許可・承認制にすること)。それは金の場合、国際社会がある国に対して経済制裁を発動する時だ(第16条)。その時に初めて日本も送金規制の措置が取れる。これは国際社会の動きが前提となっているので、逆に言えば日本単独で送金規制は出来ないということを意味している。日本政府はこの部分を、日本単独で送金規制が出来るよう書き換えた。これにより日本は独自の判断で好きなだけ共和国の取引を規制出来ることになった。つまりこの法を改正すれば、いつでも共和国に対して経済制裁を与えることが出来る合法性を作ったのだ。これが「改正」後の外為法である。 さらに悪質なのは特定船舶入港禁止法である。外為法の改正によって、金や物が共和国に流れないように押さえることは出来る。だが、現実的には秘密裏に運ばれる可能性があるのではないか。どうも万景峰号から様々なものが共和国に流れているらしい。日本の現行法では万景峰号の入港を禁止することが出来ない。万景峰号の入港を禁止する法律を作らなければ…。この確証もない理由が、特定船舶入港禁止法が作られたきっかけである。特定船舶入港禁止法の趣旨は第1条、「この法律は、近年における我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全を維持するため、特定船舶の入港を禁止する措置について定めるものとする」というもの。「特定船舶」とは、閣議決定で定める特定の外国の国籍を有する船舶のこと。つまり国会でその対象となる船舶を自由に決められるということである。 在日同胞の人権を無視する日本政府 結局、改正外為法も特定船舶入港禁止法も公正、中立な立場からではなく、日本政府が独自の判断によって制裁を発動出来るものになっている。政府の判断の結果次第で在日同胞の人権問題は無視され、また人権が蹂躙されても現行法では合法になってしまうのだ。 特定船舶入港禁止法の適用は、万景峰号がどのような船なのかという前提を考える時、その不当性が見えてくる。在日同胞の祖国訪問は、民族文化や芸術の取得、登山や歴史探訪、観光、親類訪問など幅広い目的にあった道が開けていて、老若男女を問わず誰でも自由に行き来出来る当然の権利だ。そしてそのための交通手段が万景峰号なのである。国交のない日本に住む同胞と共和国を直接結ぶ、大切な旅客船なのである。その入港を禁止するということは、在日同胞が有する共和国への往来権利の剥奪といえるだろう。 現在在日同胞の人権問題は、国連でも議論されている。例えば朝鮮学校の問題なら「ディエン報告書」(通称)に、「朝鮮学校には日本政府からの財政的援助がないため、親たちに非常に重い負担がかかっている」「親が朝鮮学校に寄付しても免税措置の対象とされない」と明記されている。ディエン報告書は国連の正式文書である。その文書に税制上の優遇措置の問題が明記されている。それにも関わらず、何の改善も見えない。この一つの事象を見てもわかるとおり、国際社会の意見も聞かず自分勝手な言い分で他国やその国民の人権を無視し、その平和な生活を脅かしているのは一部の悪意を持った人たちが扇動する日本当局なのである。 かつて日本の植民地支配により国も言葉も奪われ、半世紀が過ぎた今も過去の清算がなされないまま、民族的自主性が蹂躙され人権、生活権までも脅かされる在日同胞に、日本当局は一体これ以上何を望むのであろうか?
私たちの立場 日本政府が7月5日に制裁措置を発表した以後、朝鮮学校に通う児童・生徒に対する暴行、暴言、脅迫、いやがらせ事件は112件にのぼり、8月には総聯神奈川・湘南西湘支部会館に対する放火事件も発生した。またさらに安倍晋三が首相となり在日朝鮮人に対する不当な差別が続くことは明らかだ。現在の日本は国際社会、国際秩序から離れ、独自の判断のみを主張する国家に向かっている。日本の右傾化は誰もが危惧するところだ。国連で議論されている在日同胞の人権問題は、日本ではマスコミにさえ取り上げられない。 共和国は自主性を守るためにいつも誠実に行動してきた。「6者会談に参加しない北朝鮮は悪い国だ。だから制裁する必要がある」。その一つの事象だけ見ると「共和国=悪」となり得るが、情勢をそう単純に見てはならない。6者会談共同声明(2005年)の履行を基準に考えれば、真に悪意のある国がどこなのかは誰にもわかるはずだ。 私たちは日本のいわゆる「北朝鮮問題」に対して部分的ではなく、大局的な観点から――つまり朝・米、朝・日、対南朝鮮問題などの総合的な観点からの判断が必要であり、情勢の本質を見抜くことが重要である。私たちは民族の誇りと活動の正当性をしっかりと認識し、日本という「まな板の鯉」になってはならない。 |
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