セセデ連続講座2008年 8月 - 核申告と「テロ支援国家」指定解除通告

◆「行動対行動」に基づいて◆
 6月26日、共和国の核申告書提出を受け、ブッシュ大統領はついに「テロ支援国家」指定の解除を議会に通告した。6者会談、朝米関係はいよいよ新たなステージに入った。

「10.3合意」完了のためには、すべての6者会談関係国が義務を履行する必要がある。
それなしに、「次の段階」には入れない。
アメリカが動いた今、もっとも遅れを取っている日本は動くか。


 共和国の「核申告書提出」と、アメリカの「テロ支援国家」指定の解除通告。6者会談――朝鮮半島非核化の第二段階である「10・3合意」が完了に近づいた。この朝米間の出来事は6者会談の原則「行動対行動」にのっとって、6月26日に時を同じくして行なわれた。共和国外務省は、「われわれは、これを肯定的な措置として評価し、歓迎」した。そしてブッシュ大統領も、核申告書提出を「(6者会談プロセス進展の)重要な一歩」と高い評価を下した。

 去る6月は、6者会談関係国、とりわけ朝米関係で近年まれに見る多くの動きがあった。この場でざっと振り返ってみよう。
 まず6月10日、共和国外務省は「共和国が、今後もあらゆる形態のテロとそれに対するいかなる支援にも反対する一貫した立場を堅持し、対テロ闘争で尊厳ある国連加盟国としての責任と義務を全うするということをせん明する」と、「反テロ」声明を発表した。アメリカ国務省・マコーマック報道官は、同日に共和国外務省の声明を評価。10、11日には平壌で朝米専門家協議が開かれ、「核施設無能力化を完了するうえで提起される技術的・実務的方途とそれに伴う政治的・経済的補償を完結する問題が討議され」(朝鮮通信)、成功裏に幕を閉じた。また、18日にはライス米国務長官が、「テロ支援国家」指定の解除をワシントンでの講演で、初めて明言した。さらに20日には、6者会談の米首席代表・ヒル国務次官補が北京入りし、共和国の核申告が近く行なわれるとコメント。ホワイトハウスは23日、共和国が26日までに核申告をすると発表、同時に「テロ支援国家」指定の解除に取り掛かることを示唆した。日本の福田首相が「核の問題が解決する方向に進むのであれば、歓迎すべきことだ」(24日)と、テロ指定解除の方針を容認する中、26日、共和国は6者会談議長国である中国に約60ページの核申告書を提出。そしてブッシュ大統領は「敵性国通商法」の適用終了とともに、「テロ支援国家」指定の解除を議会に通告した。

 そんな一連の流れの中で27日、共和国の非核化意思を誇示する、寧辺核施設の冷却塔爆破の映像が、全世界に報道された。様々な報道によると、その費用をアメリカも負担したという。日本の報道ではこの冷却塔爆破を「単なるショーだ」と報じているが、ライス長官が「稼動していた原子炉だということを忘れてはならない」(読売新聞2008・6・28)と釘を刺したことからも、その政治的意味は感じられるはずだ。 「テロ支援国家」指定は、大統領が議会に解除を通告し、45日後に解除される(8月10日前後)。この45日間にアメリカは、共和国の核申告書を徹底的に検証するだろう。「検証結果次第では…まだ解除されるかはわからない」などとも報じられているが、ブッシュ大統領の発言に誰が「待った」をかけられるというのだろうか。解除取り消しは、可能性はゼロではなくても現実性はないと思われる。

 とにかくこれで、6者会談の第二段階が実質上完了した。アメリカは共和国を1950年から「敵国」、1988年から「テロ支援国家」として、敵視し続けてきた。その指定が解除されるに至ったことは、朝米関係において非常に大きな意味を持つだろう。6月30日、平壌の南浦港には食糧3万8000tを積んだアメリカの船舶が到着した。アメリカの共和国に対する食糧支援が、約2年半ぶりに行なわれたのだ。この一例からも、朝米関係の前進を垣間見ることが出来る。

 今回発表された「テロ支援国家」指定の解除通告、「敵性国通商法」適用の終了によって、朝米関係改善のための法的障害は基本的になくなったと言える。共和国は今後、
@世界銀行から融資などを受けられるようになり、
A先端技術の共和国輸出の制限が緩和され、
B朝米間で商業金融取引も行なえることになるだろう。
 これまで以上に堂々と、国際社会の一員としての待遇を受けられるようになる。

 一カ月の間に、物事がずいぶん急ピッチに進んだように見える。マスコミも「『テロ指定』解除 結論急いだ米国」(毎日新聞2008・6・27)などと連日はやし立てた。しかし「10・3合意」履行の期限は、本来昨年末だったことを忘れてはならない。共和国の核申告にいちゃもんをつけ、「行動対行動」の原則を守らず合意の履行を遅らせてきたアメリカが、ようやく「当然」の行為を行なったにすぎない。急いで履行されたと言っても、「10・3合意」は半年以上も遅れて履行されたのだ。2003年8月に6者会談が開かれ、2005年9月の共同声明で発表された原則は、今ついに実行された。ブッシュ大統領は最近、日本のテレビインタビューなどで「action for action」と幾度も発言するようになった。共和国からすれば、「ようやく」である。

 今日6者会談は、「第三段階」に入ろうとしている。共和国外務省が、「われわれは、(中略)今後も『行動対行動』の原則に基づいて各国の義務履行を綿密に注視しつつ、9・19共同声明を誠実に履行するであろう」(朝鮮通信)と述べているように、6者会談の場で、この原則を守る姿勢がいっそう強まっていくことが予想される。これはアメリカにとっても決して悪いことではない。自分たちが行動した分、共和国が行動するのだから、朝鮮半島の非核化を早期実現したいアメリカは、どんどん行動に移していけばいい訳だ。原則に沿って行動し、今回のように共和国と歩調を合わせれば、アメリカは自分たちの目的を一瞬の内に達成出来るとさえ言えるのだから。

 6者会談の原則は、当然すべての参加国が守らなければならないもの。「10・3合意」は「ほぼ」完了段階に入っているが、「ほぼ」としか言えない理由は、共和国に対する100万tの重油支援が未だになされていないからだ。その「履行していない」代表格は、いつも6者会談の足かせとなっている日本だ。日本は拉致問題が進展していないと主張し、共和国への支援にまったく参加していない。共和国、そしてアメリカが自らの義務を履行していく中で、日本はポツンと置いてきぼりをくらっている状態である。「10・3合意」の義務である重油20万tに相当する支援を、共和国に行なっていない日本に、はたして6者会談に参加する資格はあるだろうか。ましてや6者会談に直接関係しない、拉致問題を語る資格が。アメリカが「行動対行動」を実行している現段階で、6者会談の合意を履行していない関係諸国は、今後次々に糾弾されていくに違いない。約束を守ったものと守らなかったものが、誰の目にも明らかになることだろう。

 6者会談が目指す朝鮮半島の非核化は、すなわち、アメリカの共和国に対する敵視政策の終了を意味し、朝米関係の正常化を意味する。今後さらに両国が足並みを揃えると、事態は想像以上に速く進む可能性がある。6者会談関係国の動きを注視していこう。







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