| ■セセデ連続講座2008年 3月 - 共和国を巡る二つの動き、6者会談の展望
◆6者会談は「こう着状態」?◆ 「10.3合意」履行が遅れる中で、一見6者会談はこう着状態に見える。しかし1月末の二つの「動き」は、目に付く出来事だ。今年の6者会談と朝米関係の展望を考える。 ![]() 中国共産党対外連絡部代表団と会見する金正日総書記。 この後の昼食会は和気あいあいとした雰囲気の中で行なわれた 写真提供:朝鮮通信社 6者会談「10・3合意」の履行が未だに遅れている。日本の報道によると、共和国が履行義務である核申告を果たしていないから、だそうだ。しかし共和国はすでに核申告と無能力化を朝米合意のもと年末までに「技術的に可能な範囲」で完了している。また、11月に申告書を作成しその内容をアメリカ側に通報している。それにもかかわらず、アメリカは「テロ支援国家指定」のリストの解除と経済制裁の停止を実行しておらず、また共和国以外の参加国の履行義務である共和国へのエネルギー支援も遅延している状態だ。「10・3合意」を履行していないのが誰なのか、6者会談が前進しない理由は何故なのか、は明白であろう。合意は「行動対行動」の原則の下で、確実に履行されなければならない。共和国だけが合意を履行している現状では、6者会談の前進は遠いであろう。 譲らない共和国とアメリカ。傍目から見ると「こう着状態」の6者会談だが、はたして本当にそうだろうか。以下で紹介する二つの動きは、6者会談の再開と「10・3合意」履行の前進に関する水面下の動きだと言えるのでは。 まず一つ目は、訪朝中の王家瑞部長を団長とする中国共産党対外連絡部代表団が1月30日、金正日総書記と会見をしたことだ。朝鮮中央通信によると、「王家瑞部長は席上、金正日総書記に中国共産党総書記である胡錦濤国家主席のあいさつを伝え、代表団が用意した贈り物を手渡し、金日成主席の革命活動ゆかりの土地の一つである吉林市を紹介するビデオを見せた」という。これに対して金正日総書記は謝意を表し、「胡錦濤国家主席へのあいさつを伝えた後、王家瑞部長とあたたかく親善的な談話を交わした」そうだ。しかし会見のもう一方では、朝鮮半島核問題の話も行なわれたはず。この会見に、姜錫柱第1外務次官と劉暁明・駐朝中国大使が同席したことは、その何よりの証拠だろう。中国の国営通信「新華通信」は、金総書記がこの会見で、「6者会談当事国は自分たちの合意を履行しなければならない」「共和国は忠実な合意履行のために中国と協力する意思がある」と述べた、と報道した。今回の中国共産党対外連絡部代表団の訪朝、金総書記との会見は、こう着状態になったままの6者会談を前進させるために行なわれた、と考えてもあながち的外れではないだろう。 もう一つの動きは、それと時をほぼ同じくして、米国務省代表団が1月31日〜2月2日に行なった平壌訪問である。米国務省代表団が訪朝中に行なわれた朝米実務協議では、「10・3合意」履行に関する話し合いがなされた。朝鮮中央通信によると、訪問期間に行なわれた朝米実務接触では、6者会談の「10・3合意」履行における関心事が討議され、問題の討議は真摯かつ実務的な雰囲気の中で行なわれたそうだ。米国務省代表団団長のソン・キム朝鮮部長は、アメリカの6者会談代表団の一人として、共和国を幾度も訪問してきた人物。そんな彼が今回の訪朝を前に南朝鮮を訪問し、また訪朝後は中国に入る事実は決して見逃せない。ここから考えると、彼は6者会談参加国をまわり、「10・3合意」履行の問題を協議して、ある答えを持って共和国を訪れた可能性がある。朝米実務協議の内容は詳しく報道されていないが、「真摯かつ実務的な雰囲気の中で」行なわれたことは、悪い材料ではない。 この中国とアメリカの二つの動きは、結果が良かれ悪かれ、こう着状態にある6者会談を動かす一要素になるだろう。昨年12月31日を期限とした「10・3合意」の履行が破られ、6者会談は実質上止まってしまった。しかし今振り返れば、年明け早々の1月4日に共和国外務省代弁人が発表した談話――今現在共和国だけが合意を着実に履行しているということ、他国は「行動対行動」の原則に従って合意履行に努力すべきであること、を主張した――を機に、6者会談参加国が水面下であわただしく動き始めている。 去る1月23日、ライス米国務長官は、「我々は共和国とのよりよい関係を考慮出来るし、そのために6者会談で努力している」と発言した。その「努力」の一つに、米国務省代表団の訪朝も含まれているのだろう。アメリカの「努力」は直接的に朝鮮半島の非核化につながる。6者会談は朝鮮半島の非核化を実現するための会談であり、それはすなわち朝米関係の改善を実現することを意味する。アメリカが共和国に対する武力を背景にした敵視政策を改め、そして両国に平和関係が築かれれば、共和国が核を所有する理由はまったくなくなるからだ。 中国共産党対外連絡部代表団と米国務省代表団の訪朝が終わるや否やの2月5日、アメリカが6者会談の合意に基づく重油5万4000tを、2月中にも共和国に供与する準備をしていることが明らかになった(2月7日現在)。「北朝鮮の核申告が遅れているにもかかわらず米国が重油支援を行なうのは、合意履行の意志を再確認し、北朝鮮にも迅速な核申告を求めるためのもの」などと「中央日報」は報じているが、そのように捉える必要はまったくない。アメリカは「行動対行動」の原則に乗っ取って、合意履行の意味で先を歩いている共和国に、ようやく足並みを揃えただけのことであるし、当然と言えば当然の行動であるからだ。 朝米関係と6者会談は今年、最終決算のための転換期に差し掛かる。昨年12月3〜5日にかけて訪朝した6者会談米首席代表・ヒル次官補は、「第2段階措置が履行されれば、共和国とアメリカの関係正常化を実現する過程を示すことが出来る。(ブッシュ政権の任期である2008年中に)その過程を完了することが出来るはずだ」とコメントした。このように今年は大局面の年なのだ。それを示すように2月26日には、ニューヨークフィルの平壌公演が行なわれる。アメリカのオーケストラは外交的に敵対する国で公演し、関係改善に寄与してきた歴史を持つ(例えば1973年のニクソン大統領訪中直後には、フィラデルフィア・オーケストラが中国公演を行なっている)。こんな経緯もあって、NYタイムズなどは平壌公演を「歴史的公演」と見ている。さっそく朝米関係改善に向けた動きが始まる。 この好転の中で、アメリカとその他6者会談参加国が合意を履行すると、今年はどんな展望が待っているのだろうか。アメリカは「テロ支援国家指定」を解除し、対敵性国通商法の適用を外す。そうなれば、アメリカが共和国を敵対視する法も制度的装置もなくなり、半世紀に及んでアメリカが行なってきた政治包囲網と経済封鎖網がなくなる。さらにまた、国際金融上の規制もなくなり、共和国の貿易環境が好転するだろうし、結果北南経済協力も躍進することになるだろう。 現在の6者会談のこう着状態は、必ず終わりを迎える。朝米関係は後退せず前進の一途を辿るだろう。私たちセセデはこの事実をしっかりと認識して、2〜3月にかけて急変する国際情勢に注視していこう。くれぐれも日本の報道などに惑わされてはならない。 |
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