| ■セセデ連続講座2008年 2月 - 破られた期限 「10.3合意」
◆原因はどこに…?◆ 昨年12月31日までに履行されることはなかった「10.3合意」。その原因はどこにあるのか。共和国の核申告のせいか、はたまた他国のせいであるか、原因を探る。 ![]() 6者が取り決めた原則に基づいて合意を履行すれば、新たな局面は必ず開く。 現在履行しているのは共和国だけだ。 写真提供:朝鮮新報社 昨年12月31日は、共和国とアメリカの敵対関係に画期的な前進が見られるかもしれない日であった。それは第6回6者会談で合意された「10・3合意」の履行期限であったからだ。しかし年が明けて1月となった現在になっても、「10・3合意」は完全に履行されていない。共和国が行なうべき義務は、主に「核施設の無能力化」と「核計画の申告」であり、アメリカは「共和国に対する『テロ支援国リスト』の解除」と「『敵性国通商法』の適用終了」である。注目されることは少ないが、共和国以外の5者は「共和国に対する経済及びエネルギー支援」が履行義務である。共和国、アメリカ、そして5者が検討に検討を重ねて約束された6者会談の合意が、履行されていない原因はどこにあるのか。 まずはアメリカの言い分を見てみよう。米首席代表のヒル次官補は1月7日来日し、日本の佐々江賢一郎アジア大洋州局長と会談した。この際ヒル次官補は、共和国がアメリカに説明した申告内容には「核計画、核施設の面でさえすべてが含まれていなかった」と述べ、共和国の姿勢を批判した(朝日新聞1月7日)。また「共和国は核計画の申告を部分的なものにとどめようとしている」「部分的な申告は全く申告がないのと同じこと」と強調。まとめると、共和国の履行義務の一つである「核計画の申告」がなされていないと言う主張だ。反面共和国のもう一方の履行義務である「核施設の無能力化」については、「75%が終わった」との見解を示している。ヒル次官補の言い分は、アメリカが「10・3合意」を履行出来ずにいるのは共和国が合意の履行を果たしていないからだ、ということになるであろう。特に焦点は「核計画の申告」にあると思われる。 ではヒル次官補が言うように、共和国は本当に「核計画の申告」を行なわなかったのであろうか。 朝鮮外務省のスポークスマンは1月4日、「10・3合意」履行が遅延していることについて談話を発表した。そこには12月31日を過ぎて、「遺憾にも、我々の核施設の無能力化を除く残りの合意事項は未達成となった」とされている。「核計画の申告」については、「最近、一部で誤って世論化されている核申告問題に関連しても、我々は事実上、自分のなすべきことを果たした状態である」と明言した。共和国がそう主張するのは、すでに昨年11月に核申告書を作成し、その内容をアメリカに通報したからだ。そしてアメリカが申告書の内容をもう少し協議しようと持ち出した際も、共和国はその協議を十分に行なっているのである。さらにアメリカが「ウラン濃縮疑惑」を提起したことに対しては、輸入したアルミニウム管が利用された一部の軍事施設まで特例として参観させ、サンプルも提供して、問題のアルミニウム管がウラン濃縮とは関連がないということを誠意を持って解明した。果たしてこれらの行動事実は、共和国が「核申告を行なった」と言えないものだろうか? 共和国はいつも合意を着実に履行しようとしている。それを目に見えて知らしめてくれるのは、昨年9月頃に『ニューヨークタイムズ』などが報じ、日本でも禍々しく取り上げられた共和国とシリアの「秘密核協力説」についてである。共和国とアメリカの関係改善を良しとしない一部勢力が持ち出したものであろうが、共和国はそのような「疑惑」に対し、「10・3合意」にて「核兵器と技術、知識を移転しない」とはっきりと明文化し、自分たちの立場を他国に示している。このような行為は、共和国が6者会談でなされる全ての合意履行を、積極的に推し進めようとしている姿勢の表れだ。その証拠に、共和国のもう一方の履行義務である「核施設の無能力化」は、合意に記された通り12月31日までに「技術的に可能な範囲」の作業が完了された。現在は最後の工程として、約100日間で計画されている使用済み燃料棒を取り出す作業が行なわれている。 しかし6者会談関係国の「10・3合意」履行状態は、共和国に比べるとあまりに酷すぎる。アメリカは上で見た通り、「テロ支援国リスト」の解除、「敵性国通商法」の適用終了(「10・3合意」の第2項)を全く行なっていない。アメリカを含む5者の義務である「共和国に対する経済及びエネルギー支援」(第3項)も、月別重油納入スケジュールが引き続き遅れており、エネルギー関連設備、資材の納入に関連する実務的工程も遅延状態である。 その中でも日本はエネルギー支援どころではない。合意第2項に明記された「平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し早期に国交を正常化するために努力する」なんて、夢のまた夢である。日本で、共和国と話し合おうなどという世論が皆無なのは、私たち日本に住む同胞青年が一番感じているはずだ。それどころか日本は6者会談に関連する報道で、未だに共和国を批判的に扱う。自分たちはなんの履行義務も果たさずに、共和国の核申告や無能力化に対しては云々し、まるで共和国のせいで合意履行のプロセスが崩れているように世論を煽っている。ここまでくると付ける薬がない。 もはや「10・3合意」が履行されていない原因がどこにあるのかは明白であろう。現在のような履行義務が果たされていない状態は、6者会談自体の意義に関わってくる非常に危険な問題だ。みんなで決めた約束を、やる人とやらない人がいるようでは、全体として成り立たない。履行されない合意ほど無意味なものはないことは、過去の歴史からも明らかだ。共和国は「他の関係国の義務履行が遅れている状況で、『行動対行動』の原則によって最近、核施設無能力化作業の速度もやむを得ず一部調節されている」(朝鮮外務省スポークスマン)と警告している。「関係各国が同時行動の原則に基づいて共同で信義ある努力を傾けるのなら、『10・3合意』が円滑に履行されるであろうという期待を依然として持っている」と朝鮮外務省の談話は締められた。 「10・3合意」が完全に履行されぬまま2008年は明けた。今年こそは朝鮮半島の非核化=朝米関係の正常化に、飛躍的な発展が訪れることを期待したい。毎年新年を迎えて共和国は「労働新聞」「朝鮮人民軍」「青年前衛」にて、共同社説を発表し、一年間の方針を述べている。もちろん今年一年間の共和国の外交立場も表記されている。そこには、昨今の世界情勢は平和と安全を守り自主の道に進む大きな流れは誰にも止められないこと、そして、帝国主義の強権と「自分勝手」はもはや通じないと前書きされ、共和国は今後も「自主・平和・親善」を掲げ、朝鮮半島の安定と世界の平和のために闘っていくこと、共和国と友好関係にある国々との親善協力を一層強化していくことがはっきりと語られている。 私たちセセデには、明確に知っておくべきことがある。それは、「10・3合意」を履行したのは共和国だけであり、履行していないのは他の関係国であるという事実だ。それを踏まえて今年の6者会談の動きに注目していこう。 |
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