| ■セセデ連続講座2008年 10月 - 核検証は テロ指定解除の焦点なのか ◆解除されないテロ支援国家指定◆ アメリカがテロ支援国家指定のリストから、共和国を削除しないまま1月以上が過ぎた。双方の主張の内、どちらの主張がより理に適っているのだろうか。 ![]() 7月に開かれた6者会談に参加する共和国の金桂寛外務次官(左から2番目)。 アメリカは苦し紛れの「理由」を撤回し、テロ支援国家指定から共和国を削除するべきだ。 (写真:朝鮮新報社) 去る8月初頭、衝撃のニュースが報じられた。「テロ指定解除、米大統領が先送り示唆」。現在、アメリカが共和国のテロ支援国家指定の解除を留保し、これに真っ向から反発した共和国が、核施設無能力化措置を中断した。寧辺の核施設にいたっては7月の時点で、「80%以上進行」(共和国外務省報道官)していたにも関わらずだ。7月10〜12日に行なわれた今年初の6者会談から1カ月、その時決められた合意は早くも破られてしまうのだろうか。6者会談は再び重大な一つの局面を迎えた。 アメリカは「核検証が行なわれない限り、テロ支援国家指定解除は不可能」と主張している。今のところその態度を妥協するそぶりは見えない。「先に進むために北朝鮮からの検証パッケージを待っている。ボールは北朝鮮側に渡っている」(8月19日、米国務省のウッド副報道官代行)、「われわれは北朝鮮に対し確かな検証手続きが必要と明確に伝えている」(9月3日、米国家安全保障会議・ジョンドロー報道官)などのコメントもそれを後押ししている。アメリカがこの問題に対して決して妥協しないであろう理由の一つを、『朝鮮日報』では、「共和国の核検証についての問題は、国務省内の『交渉派』であるヒル国務次官補ではなく、(中略)マクナーニー首席副次官補が担当している。マクナーニー氏はブッシュ政権内で強硬派として知られるボルトン元国連大使と同じ考えの人物であり、厳格な検証を行なうべきと主張する人物」(2008・9・5)が担当しているからだと分析している。とにかくアメリカは、核検証なしにテロ指定解除はない立場を固守している。 その一方で、共和国はどのような主張をしているのであろうか。8月26日に発表された外務省スポークスマン声明を振り返ってみよう。 声明ではまず、「米国が6者会談の10・3合意を拒否したことにより、朝鮮半島核問題解決に重大な難関が生じた」と結論付けた。アメリカの10・3合意の拒否とは、共和国が核申告書を提出した(6月26日)にも関わらず、アメリカが共和国をテロ支援国家指定リストから削除していないことを指す。スポークスマン声明では「これは合意に対する明白な違反である」と断言している。アメリカはテロ指定解除をしなかった「理由」を、「報告書に対する検証議定書が合意されていない」からとした。しかし共和国の主張するように、6者会談や朝米間のいかなる合意にも、共和国の核申告書に対する検証問題を、テロ指定リスト削除の条件として規定した条項はない。スポークスマン声明は、「現段階では、6者の枠組みに検証機構と監視機関を設けることにしたのが合意事項の全部である」と続いている。 共和国とアメリカの主張を汲むと、どうやら「検証議定書の合意」が問題点として見えてくる。アメリカはそれが当然の約束かのように主張しているし、共和国はそんな約束はないと突っぱねている。どちらの主張が理に適っているのだろうか? 去る7月に行なわれた6者会談を振り返って、考えてみよう。 7月の6者会談で提出された首席代表報道発表文(『セセデ』9月号参照)の第1項は、検証体制の構築について言及している。そこには、「6者会談の枠組み内に、朝鮮半島の非核化を検証する体制を確立することに合意」と書かれている。そして、具体的にどういった検証体制を作るかも明記された。ここでアメリカの主張を振り返ろう。アメリカが主張する「検証議定書の合意」には、サンプル採取や随時視察なども当然含まれる。確かに6者が合意した検証体制には、核施設への立ち入りや技術者への聞き取りが含まれている。しかしこの発表文の合意は、あくまで検証体制を確立するという段階を過ぎない。検証体制を「確立する」ことを合意したからといって、検証体制を「適用する」という段階には飛躍しないはずだ。そう考えると、アメリカの主張は明らかに合意水準を「越えた」要求ということがわかる。理に適った主張をしているのがどちらかは一目瞭然であろう。共和国外務省スポークスマン声明はこの点を、「米国はこの合意事項を悪用して突然、核申告書に対する検証に『国際的基準』を適用すべきであるという問題を持ち出して、わが国のどこでも意のままに探ってサンプルを採取し測定するような視察を受け入れるよう脅迫した」と指摘している。 さらに言うと、アメリカが適用すべきとする「国際的基準」(共和国はこれを国際原子力機関(IAEA)の「特別査察」と指摘)を、共和国は受容する必要がない。アメリカは「特別査察」を含めたIAEA追加議定書に準ずる検証方案を共和国に提示したが、共和国はIAEA安全保障措置協定からも脱退している状況だからだ。 このように理に適った主張をしている共和国は、「米国が合意事項を破った条件下で、われわれはやむを得ず『行動対行動』の原則に従って」(共和国外務省スポークスマン声明)、核施設の無能力化作業を中止、復旧に着手した。これを受けて、アメリカ、南朝鮮、日本の6者会談首席代表は9月5日、北京入りし、対応を協議した。報道によると、アメリカ政府は検証は申告の一部に当たると位置付けており、ヒル米国務次官補は、「検証がない申告というのはあり得ない」と繰り返したという。しかし翌日6日に、6者会談議長国の中国を訪問した際に彼は、「核計画申告への検証手段が確保出来れば、直ちに(テロ支援国家指定を)解除する用意がある」とも話した。共和国をけん制し、事態の悪化・深刻化を恐れた格好になる。 来る11月4日にアメリカ大統領選挙を控えていることもあいまって、6者会談はある大きな局面を迎えようとしている。カギを握っているのは、アメリカの行動である。アメリカが難癖をつけて、6者会談の進展にいつも水を差していることは、もはや世界中の人々が周知の事実であろう。共和国は外務省スポークスマン声明にて、「米国が今回、わが国が『テロ支援国』ではないということを内外に公式に宣言しておきながら検証問題を理由にリスト削除を延期したのは、そのリストなるものが実際はテロと関連したリストではないことを自認したことになる」と釘を刺し、「われわれは、『米国に従順ではない国』のリストにそのまま残っても構わない」とさえ言い切っている。 共和国は核検証の裏に潜むアメリカの「特別査察」を決して受けない。査察(アメリカ主導の国連査察)を受け入れたイラクが結局どうなったのか、知らない人はいないだろう。査察を受け入れられるのは、現在の交戦状態に終止符を打ち、朝米間の関係が完全に改善された後である。アメリカとの駆け引きにおいては、少しの譲歩も許容出来ないという事実は、歴史が明らかにしている。 アメリカの身勝手な主張に伴い、6者会談が破局するという最悪の事態が起こらないことを願うばかりである。 |
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