セセデ連続講座2007年 6月 -第4回UN人 権理事会に見る日本の孤立

◆ポイント◆
国際舞台で私たちの主張は一層正当性を帯びる。日本の世論に惑わされてはいけない。



 去る4月、総聯組織に対する日本当局による強制捜索が、またもや不当に繰り広げられた。今回は東京都白山にある留学同中央本部と、今は解体され存在しない朝鮮問題研究所に対する強制捜索だった。テナントビルである出版会館ビルは25日、300人の機動警察隊と数十人の警視庁公安部捜査官、そして事前に警察側のリークを受けていたマスコミで取り囲まれ、抗議に駆けつけた団体職員たちや同胞たちはまるで「犯罪者」のごとく扱われた。新聞、ニュースなどでマスコミは、「拉致問題」の直接的関係者として世論を煽り立てた。私たちはこのような安倍政権と警察当局による、不当な弾圧と人権蹂躙行為の本質を見抜く必要がある。
 しかし日本当局の意図とは逆に、安倍首相の「『従軍慰安婦』発言」や訪米により、日本政府が犯した過去の蛮行に対する清算問題が、現在世界中で注目されてきている。大局的に見るまでもなく、日本以外の全ての国はこの問題の原因は日本にあることを認識していると言っても差し支えないだろう。「人権」の視点から客観的に考えれば、日本当局の過去清算に関する取り組みは明らかに不誠実だからである。
 日本ではほとんど報道されることはなかったが、去る3月、スイス・ジュネーブのUN欧州本部では第4回UN人権理事会が開催された。そこには総聯代表団も参加し、日本軍「従軍慰安婦」や強制連行犠牲者の遺骨などの日本の過去清算に関する問題、現在の総聯弾圧と在日同胞に対する差別の問題などを深刻に訴えた。今月は、過去清算問題を含む在日同胞に対する人権侵害が、今世界でどのように捉えられているのかを探るべく、第4回UN人権理事会について見ていくことにしよう。



UN人権理事会とは?

 まずUN人権理事会(UNHRC)について知ろう。UN人権理事会とは2006年6月に創設され、UN加盟国の人権の状況を定期的・系統的に見直したり、国際社会の人権状況を改善するために組織的な人権侵害などに対処する常設理事会のことである。主な任務は、人権と基本的自由の保護・促進及びそのための加盟国への勧告、人権分野の協議・技術協力・人権教育、人権分野の国際法の発展のための勧告などで、一言で人権に関する様々な問題を国際的に議論する場であると言える。年3回(合計10週間以上)の定例会合のほか、理事国の3分の1の要請による緊急会(特別会期)も開かれる。
 人権理事会は昨年創設されたので歴史が浅く感じられるが、UNにもともとあった経済社会理事会の機能委員会の一つ、UN人権委員会を改組、発展させたものだ。国際的に「人権」に関する注目が高まる情勢を受け、UNの中で昨年昇格され、人権理事会となったのだ。それは人権理事会の初回会合の際、事務総長の発した「人権分野におけるUNの活動に、新しい時代が開かれた」との言葉からも窺い知れる。国際的に各国の人権に関する問題を解決していく、非常に世界的な場であることに異論はないだろう。



第4回UN人権理事会にて

 このような「人権」について国際的に議論する場に、今年3月、総聯代表団が参加した。総聯代表団の訴えによって、第4回UN人権理事会では日本の責任回避に非難が集中したという。
 人権理事会の「女性に対する暴力」のセッションでは日本軍「慰安婦」問題が討議され、「拷問、集団虐殺」のセッションでは強制連行犠牲者の遺骨問題が提起された。どちらのセッションでも、各国の代表やNGOが日本の過去の犯罪が未解決であることについて確認し、日本政府の責任を強く追及したという。
 また「人種差別」のセッションで総聯代表団は、総聯弾圧と在日朝鮮人への人権侵害について取り上げた。特にここでは朝・日政府の激しい論戦が繰り広げられた。実際に繰り広げられた論戦を以下にまとめてみた。

・共和国政府:国連報告書にあるように日本は様々な人種差別を行なっている。とりわけ日本の植民地統治被害者の団体に対する抑圧は魔女狩りである。即時中止すべきだ。
・日本政府反論@:日本政府は平等に扱っている。人種差別にも取り組んでいる。
・共和国政府反論@:不正を正当化する日本政府の主張を否定する。周知のように過去の未解決問題が現在に引き継がれ日本は犯罪を繰り返している。
・日本政府反論A:日本ではすべての人が平等だ。
・共和国政府反論A:繰り返し不正を正当化する日本政府の主張を否定する。日本による過去の人権侵害は未解決で何も変化していない。議長に対し日本に対し、在日朝鮮人に対する弾圧と差別行為を即座にやめることを強く促す。
・リベレーション(イギリスNGO):人種差別撤廃条約第2条1のAに違反する重大な人権侵害である。UNは即時調査を実施すべきである。

 この論戦を見る限り、いかに日本政府が反論にならない反論をしているかがわかる。人権理事会の場で、日本は完全に孤立した。今後ますます総聯組織への弾圧が、人権理事会の重要な議題、人権侵害問題として取り扱われることは間違いないと言える。
 総聯代表団はさらに3月26日、「従軍慰安婦」問題と総聯弾圧問題に関するNGO集会を主催した。この集会には、北南朝鮮をはじめ12カ国のNGOメンバーらが参加した。集会に参加した各NGO代表らは、未解決の「慰安婦」問題で日本政府の無責任な対応を非難したという。このような事実を知ってしまうと、まったく反省の色を見せない日本政府は国際舞台では非難の対象であると言わざるを得ない。





他人の話ではない私たちの問題

 今回のUN人権理事会に参加した朝鮮大学校研究院・金優綺さんは、「『従軍慰安婦』問題に関する報告をした後、10以上のNGOの人からその報告書が欲しいと反響がありました。また、人権理事会に参加したオランダ人元『従軍慰安婦』被害者のハルモニに、握手も求められました」と体験を話す。優綺さんは総聯組織の不当弾圧に対する発言をした後にも、隣に座っていたアメリカ人に感激され支持されたという。これらのエピソードは、私たちの主張の正当性をより一層際立たせる。「私たちセセデも問題意識を持ち、実践していくことが大切だと痛感しました。例えば署名運動に参加したりマスコミへの抗議電話をするなど、一人ひとりが出来ることは身近にたくさんあります。私はこれからも実践していきます」。
 私たちセセデだからこそ出来ることがきっとある。全ての朝青員が過去清算問題と昨今の総聯組織弾圧を自分の問題として捉え、身近なことから実践活動を行なっていこう。そして何よりも民族の誇り、自尊心を強く持ち続けることを忘れてはならない。





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