| ■セセデ連続講座2007年 5月 - 遺骨問題に見る、日本の過去精算問題
◆ポイント◆ 過去清算問題に対する日本政府の態度を知る。なぜ朝・日国交正常化は難航するのか? ![]() 現在、共和国を取り巻く国際情勢が激しく動いている。6者会談に続き、朝米直接交渉、朝・日直接交渉も行なわれた。しかし好転していく朝米関係とは裏腹に、共和国と日本の交渉は難航している。国交正常化に先立って、「過去清算問題」と「拉致問題」の認識の上で大きな隔たりがあることは依然変わらない。日本政府は過去に自分たちが行なった愚行を棚に上げ、しきりに「拉致問題」を主張し続けている状態である。 両国が主張するこの二つの問題は、規模や歴史的背景の違いがあることを除けば、ある程度お互いが被害者であることは理解出来る。しかしその解決に向けての政府の努力という観点で見ると、そこには大きな差が表れている。日本の主張する「拉致問題」に関して共和国は、公式な謝罪と共に生きている家族と遺骨の返還を真摯に行なった。それに対して共和国の主張する「過去清算問題」に対する日本政府の対応はどうであろうか。一言で、解決する気が全くないように思える。安倍首相の「『従軍慰安婦』問題」に対する「(旧日本軍による)強制性を裏付ける証拠はなかった」との発言から、日本政府の態度を端的に伺い知ることが出来る。 「過去清算問題」に対する日本政府の態度を如実に表す問題は、「『従軍慰安婦』問題」に留まらない。朝鮮人強制連行被害者たちの「遺骨問題」こそ、その典型と呼ぶべきであろう。 今回は共和国が主張する「過去清算問題」とはどのようなものであるのかを確認し、また「遺骨問題」を通じて「過去清算問題」に対する日本政府の態度を検証していこう。 「過去清算問題」と共和国の立場 周知のように、日本は過去40余年間にわたり朝鮮を植民地支配した。日本は朝鮮を武力で強制的に占領し多くの人的・物的財産を略奪したばかりか、言葉や名前という文化も、そして人命までも無残に奪ったのだった。この植民地時代に日本が犯した数々の加害を公式に謝罪し、そして真摯に補償する問題が、今日私たちの主張する「過去清算問題」である。「過去清算問題」は、在日同胞にとって直接関係する大切な問題である。なぜなら私たちはこの問題の直接的な被害者であり、生き証人であるからだ。 2002年9月「朝・日平壌宣言」以降、朝・日国交正常化に向けて情勢は動き出しているが、過去清算が成されない限り日本と朝鮮の関係は、あくまで「加害者と被害者」だ。日本政府は過去に、約840万人の朝鮮人を侵略戦争のために戦地と苦役場に強制連行し、100万人を超す罪のない朝鮮人を虐殺し、約20万人の朝鮮女性を性奴隷として連れ去った。共和国は日本がこれらの過去を真摯に清算しない限り、国交正常化はありえないという立場を一貫させている。共和国は「過去清算問題」において決して妥協せず、真相究明、そして日本政府の謝罪と補償を訴え続けている。それは朝鮮民族の尊厳に関わる非常に深刻な問題であり、また人道的に許せない問題だからだ。 「遺骨問題」に見る日本政府の態度 「遺骨問題」には、「過去清算問題」に対する日本政府の不誠実さが集約されていると言っても過言ではない。 植民地時代、多くの朝鮮人が日本政府によって強制的・半強制的に日本に連行され、日本の軍隊として海外に連れていかれた。その中には、故郷から遠く離れた地で無残に亡くなった人たちも少なくない。しかし彼らの遺骨は60年以上経った今日もなお、故郷に戻ってきていない。これが「遺骨問題」である。一見「なぜ遺骨が返っていないのか。返せばいいではないか」と思えるが、そこには様々な理由がある。しかし一番の理由は、「遺骨がない」「誰の遺骨かわからない」「本当に死んだのかどうかさえ、わからない」という至って物理的な理由によるもの。つまり遺骨が誰のものなのかがわからないために、返しようがないのだ。現代の常識ではとても考えられないこのような事態は、当時の日本政府が強制連行被害者の生死を曖昧に整理・保管したことに原因がある。一言で、朝鮮人を「人」として扱っていなかったのである。 東京都にある祐天寺には、強制連行被害者たちと「浮島丸」撃沈事件による死亡者など、1100余人の朝鮮人の遺骨が現在も保管されている。上記の理由により遺骨を返せないので、祐天寺に保管されているのだ。今年1月、日本政府はこの遺骨の一部が集団火葬された後、死亡者数にあわせて遺骨箱に分けて保管されていたという信じられない事実を初めて認めた。遺体を集団火葬し、尚且つ人の遺骨を死亡者数の頭数で分けるとは、一体どういう了見なのか。まったく許しがたい人権侵害行為である。 また、存命にも関わらず「遺骨」が祐天寺に保管されている人がいることも判明した。死んでもいない人を死者扱いし、そして誰のかもわからない遺骨をその人のものとして処理していたのである。本人が生きているというならば、この遺骨は一体誰のものなのか…。問題が二重三重に絡まって、さらに事態を悪化させている。 「遺骨問題」に対して日本政府の対応は、全くずさん且つ非道極まれりである。集団火葬や、遺骨が一部しかないといった状態なので、もちろんDNA鑑定もままならない。遺族の「せめて遺骨を…」との想いも叶わなくなっているのだ。強制連行された挙句殺され、そして遺骨になってまでも故郷に帰れない。これ以上の侮辱が一体どこにあるだろうか? ![]() 日本政府と「過去清算問題」 日本は未だに植民地時代の犯罪を正式に謝罪・補償していない。強制連行被害者の遺骨は、日本の犯罪の物的証拠でもある。しかし遺骨を処理したからといって、日本の罪がなくなる訳ではない。そして厚顔にも朝鮮人の遺骨をゴミのように扱っておきながら、共和国が渡した拉致被害者の遺骨を偽物と罵倒するとはどういう神経なのか。第3国の前で再検討しようと持ちかけた共和国の呼びかけにも応じず、勝手に「偽物」と決めつけ世論を煽いでいるこの有様。朝・日国交正常化の障害を作っているのは、はたしてどちらか。 「遺骨問題」「『従軍慰安婦』問題」の他にも、関東大震災時の朝鮮人虐殺、朝鮮人原爆被害者への支援・補償問題など、日本が解決すべき問題は多い。「過去清算問題」の解決が、根本的な朝・日関係の解決をもたらすことは明白だ。そしてそれは、今日行なわれている在日同胞に対する人権侵害行為の解決にもつながるはずだ。 「遺骨問題」は早急な解決が求められている。それは時が経てば経つほど、強制連行時の証言を出来る1世同胞たちが少なくなっていくからだ。私たちは在日同胞のセセデとして、1世同胞たちの意志を受け継ぎ、日本政府が誠実に過去を清算するよう声高に訴えていくべきではないだろうか。 |
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