セセデ連続講座2007年 1月 - 朝鮮問題の当事者、国連

◆ポイント◆
なんとなくではなく、実際にどのようなことをしてきたかに注目。また、局所的視点ではなく大局的に見る意識を持とう



国連に対する改革の声

 国際連合(United Nations)とは、国際連合憲章の下に設立された国際機構である。世界の平和と経済、社会の発展のために協力することを主な目的に謳い、1945年10月24日にアメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコで発足された。発足当初の加盟国は51カ国で、現在は192カ国が加盟している(2006年6月)。共和国は1991年に加盟している。世界の平和と安全の維持、人権の保護など、国際的な「共通の課題」の達成のため諸国の行動の調整をする役割も担う。
 国際的で中立的に見える国連だが、近年様々な改革を望む声が上がっている。一言で言うと、大国の機構になっているとの非難だ。国連の主要機関の一つ、安全保障理事会を見てもそれは分かる。安全保障理事会は、実質的に国連の中で最も大きな権限を持っており、事実上の最高意思決定機関だ。世界の平和と安全の維持に対して重大な責任を持っている機関なのである。安全保障理事会は常任理事国と総会で選ばれた10の非常任理事国から成っている。常任理事国とは、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5カ国(核保有国として認められている5カ国と同じ)。国連の意思決定は9理事国の賛成票によって決定する。しかし重要な問題である実質事項の決定には、常任理事国だけが拒否権を有し、そのうち1国でも反対すれば事項は成立しない。つまり常任理事国の5票の内、1票でも反対があれば決定は出来ない。常任理事国はこのような特権と言える拒否権を有しているのだ。実質的に国連の意思決定はこの5カ国が牛耳っているのである。
 この大国だけが拒否権を有する制度を、民主主義に違反すると非難する国々も多い。しかしこのような制度を改革するには国連憲章の書き換えが必要となり、そのためには5カ国の賛成が必要となる。5カ国全部がこの制度の改革を望むだろうか。まさに悪循環なのである。このようなことから、国連の改革は実質的には不可能と言える。



  国連と朝鮮問題

 朝鮮半島と国連の因縁は深い。実際国連は第二回総会(1947年)以降、毎年といっていいほど朝鮮問題を議題に取り上げているからだ。問題を取り上げ、議論をすることはいい。しかし国連はいまだかつて、朝鮮問題の解決を果たしたことはない。これだけなら「共和国が問題に取り上げられるのは共和国が悪い国で、解決できないのはひどい国だからだ」との意見も一応は通る。しかし国連が問題を解決できない原因の本質は別のところにある。それは国連が朝鮮問題に関して、本来の機能である「公正に問題を解決する仲介役」にも「第三者」にもなっていないからだ。国連は北南朝鮮の様々な問題に関する、もう一方の当事者なのだ。国連内で多数派を占めるアメリカやその同盟国が、国連をそのような立場に引き込んでいるのである。
 なぜなら朝鮮問題に関して(特に共和国に対して)国連の名で行なわれた一連の措置は、まさにアメリカの政策そのものと言えるからだ。振り返れば国連は、「大韓民国」の樹立に直接手を貸し、北南分断を促し、朝鮮戦争が勃発するや否や当事者として一方に介入した当事者なのだ。



朝鮮戦争への介入

「世界の平和および安全の維持」を掲げる国連は、朝鮮戦争において国連憲章を違反した。他国の内政にどっぷりと干渉し、戦後処理問題にも直接関与したからだ。南朝鮮の範囲だけの総選挙を実施し「大韓民国」を樹立させたことも、ソ連などが反対したにも関わらずアメリカが数の力で主張を通した。これが発端となり朝鮮問題への国連の介入が深まった。
 特に朝鮮戦争への介入は一番の問題点だ。1950年6月25日、北南の「内戦」の形で勃発した朝鮮戦争にアメリカが意図的に参加したことは明らか。当時の米大統領トルーマンは、戦争勃発直後「共産主義の侵略を防ぐ」との理由で米軍空海部隊を投入、各国への軍事援助の追加、米国軍事顧問団派遣などの措置を取った。共和国の打倒を目指すと共に、誕生間もない中国への攻撃を窺ったのだ。その一方でトルーマンは国連をこの戦争に巻き込んだ。
 当時の安全保障理事会は、拒否権を持つソ連が中国の議席が認められないことに抗議し、ボイコットをしていた。アメリカはこれを好機として、安全保障理事会に急テンポで戦争介入の措置を取らせた。共和国を「平和の破壊者」として、対「韓」軍事支援を国連加盟諸国に呼びかけ(1950年6月27日)、これによって作られたマッカーサー指揮下の統合軍に国連旗の使用を認めた(同年7月)。要するに国連は朝鮮戦争において、明確に一方の当事者になったのである。何よりの証拠に1953年7月27日の朝鮮軍事休戦協定には、共和国側と、国連軍総司令官マーク・クラークが調印したのである。朝鮮戦争にあたって投入された国連軍(アメリカ軍)は、今も南朝鮮に駐屯し続けている。





  アメリカに牛耳られる国連

   国連がアメリカの主張を止められないことは、他の事例からも分かる。2003年アメリカが企図したイラク侵攻がそれに当たる。フランスはアメリカのイラク侵攻について安全保障理事会にて拒否権を行使しようとした。しかしそれとは別に、それ以前にイラク侵攻は賛成少数で否決される可能性が高かった。アメリカは否決されるなら安全保障理事会を無視するという方法で、イラクに侵攻した。国連はこの侵攻をまったく止めることが出来なかったのだ。これを見ても国連がどれだけ影響を与えていないのかが分かる。国連は国際機構であるために、どの国の政府・国民を代表するものでもないし、国家の組合に過ぎないのだ。よって実質的には一国に何かを命令する主体ではないし、行為者でもない。懲罰権や決定を実行させる実力措置も持っていないのだ。
 国連安全保障理事会は2006年10月、公式会合を開き、北朝鮮の核実験宣言を非難し、核・ミサイル関連物資の禁輸や金融資産凍結、貨物検査(臨検)の実施など広範な対北朝鮮制裁を発動する決議案を採択した。共和国の核実験から一週間以内という異例の速さだ。安全保障理事会は米日の主導の下、強制措置の根拠となる国連憲章第七章に基づく制裁を北朝鮮に科し、核放棄を求める厳しい姿勢を示したという。 これもまた、アメリカの望み通りの結果となっている。アメリカは「国連」を利用し、共和国に対する自分たちの政策を行なっているのである。
 国連は確かに国際的な機関である。その役割も大きいだろう。しかし決して「完全な第三者」でも、全世界の意思が反映された機関でもない。「国連の意思=世界の意思」。私たちはこのようなイメージを鵜呑みにしてはならない。大国、そしてアメリカの意思が「国連の意思」ということを常に意識しよう。





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