私たちを取り巻く様々な人権と生活の諸問題について学ぶ企画。
 「分かりやすくて勉強になる!」との反響に応え、昨年に引き続き身近な問題をともに考えていきます。


■セセデ2007年 3月掲載

朝鮮高級学校卒業生の大学受験問題は今も解決してないの?

 報道で、去る1月玉川大学が朝高生の受験を拒否したことを知りました。朝鮮高級学校卒業生の大学受験は、個別審査を経ることによって可能となったのではなかったのですか?


テキスト:宋恵淑(在日本朝鮮人人権協会事務局部長)
イラスト:ko-pongsuk


個別審査が課されるなど、 未だに問題が残されています。


 今年1月、神奈川朝鮮中高級学校の高3男子生徒が玉川大学の一般入試に出願しようとしたところ、「受験資格がない」として拒否される事件がありました。通報を受けた人権協会の李春煕弁護士らが玉川大学を訪れ個別審査を要求し要請書等を提出しましたが、大学側は大学出願資格がないとの判断を下したのです。玉川大学の大学出願資格に関する規定には「その他、相当の年齢に達し、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると本校が認めた者」とあり、この規定の朝鮮学校卒業生への適用が可能であるにも関わらず、大学側は1条校卒業(見込み)生でない各種学校卒業(見込み)生の場合、高卒認定試験(旧大検)合格が入学試験受験の要件であると繰り返したのです。文部科学省の大学入学資格問題に関する省令等が改定された03年9月以降、文科省も朝鮮学校の卒業(見込み)生について、大学の自主的判断で入学(受験)資格を認めることは問題ないとしており、それ以降、基本的に朝高卒業生の受験資格は国立大学を始めそれまで門戸を閉ざしていた大学においても認められるところとなっていました。このような点で、1条校卒業(見込み)生でない朝高生の受験申請は受け付けないとする玉川大学の対応は突出したものと言えます。
 在日同胞をはじめとする在日外国人の民族教育権、とりわけ「高等教育機関への不平等なアクセス」(第1回子どもの権利委員会の総括所見98年6月5日)の問題は国内外からその是正が求められてきた重大な人権問題です。03年の文科省の「弾力化」措置によって朝鮮学校卒業生の大学入学資格問題に一定の前進があったことも事実ですが、今回の玉川大学のケースはその措置が不十分なものであったことを証明するものであり、子どもたちに民族の言葉や文化を教えるのは当然の権利であるという観点から民族学校や外国人学校卒業生の権利を保障するための一連の法整備が早急に必要であることを物語っていると言えるでしょう。


日本政府、規約人権委員会に 政府報告書提出

 昨年12月、日本政府は国連の規約人権委員会に対し第5回締約国定期報告書を提出しました。報告書では、「在日韓国・朝鮮人」の項のなかで「朝鮮学校」の問題に関して記載しており、03年のいわゆる「弾力化」措置に関して詳述しています。日本政府としてはこれを「ポジティブな措置」として報告しているのでしょうが、その矢先に今回の玉川大学の問題…。
 文科省の措置の不十分な実態に関して当事者としてしっかりと国際機関に報告しなければならないでしょう。








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