人権問題といえば難しいイメージを持つ方もいるのでは? しかし身近な生活に潜んでいる問題だからおちおちそんなことも言っていられない。問題発生!でもどうしたらよいのかわからない…そんな方々の人権・生活問題の疑問あれこれにお答えするありがたい企画。


■セセデ2006年 7月掲載

婚姻届提出の際、「韓国」の戸籍謄本を一緒に提出しなければならないの?

 先日、最愛の彼女と結婚式を挙げました!その翌日、市役所に婚姻届を提出しに行ったのですが、「『韓国』の戸籍謄本を提出しなければ婚姻届は受理しません」と言われて困ってしまいました。お互い外国人登録証明書上朝鮮表示ですが、準備して提出しなければいけないのでしょうか?


テキスト:宋恵淑(在日本朝鮮人人権協会事務局部長)
イラスト:ko-pongsuk


必ず提出するべきものではなく当事者本人の「申述書」で代替できます。


 チュッカハムニダ(おめでとうございます)! きっとセセデ誌面で紹介されるようなステキなカップルなんでしょうね。   さて、今回のケースのように婚姻届提出の際、日本の役場で「韓国」の戸籍謄本の提出を求められた…といった話はよく耳にします。しかしこの「戸籍制度」はそもそも植民地支配期に朝鮮半島に導入されたもので、朝鮮では解放後直ちに廃止され、現在では日本、「韓国」、台湾にのみ存在する世界的にも珍しい制度です。つまり、朝鮮表示の在日同胞に戸籍謄本を求めてくる自体無理な話といえます。また、在日同胞のなかには朝鮮表示であれ「韓国」表示であれ本籍地に戸籍を持たない人がおり、戸籍謄本を提出できない場合が少なくありません。このようなことを役所の人が知らずに今でも婚姻届提出の際に戸籍謄本を求めることがあるようです。
 外国人が日本で日本の方式で婚姻する場合、役場では原則として当事者の本国政府の発給する婚姻要件具備証明書の提出を求めます。これは、婚姻する当事者が本国法で定めている婚姻の要件、すなわち、婚姻年齢に達しているか、重婚ではないかなどといった婚姻成立要件を満たしているか形式的に審査するためです。「韓国」には日本と同様に戸籍制度があるため、「韓国」の戸籍謄本の提出をもって婚姻成立要件を備えているか調べようとするのですが、前述の通り、婚姻要件具備証明書も「韓国」の戸籍謄本も提出することができない在日同胞は少なくありません。こういった場合、「婚姻要件具備証明書が得られないこと、及び本国法上婚姻要件に障害がない」旨を記載した当事者本人の申述書で代替可能です。申述書にはとりわけ決まった様式はないので、ワープロでも、自筆でも縦書きでも横書きでも構いません。また役場によっては申述書の書式や記載例などを備えているところもあります。申述書と、家族事項が記載されている外国人登録原票記載事項証明書を一緒に提出すれば、婚姻届は無事受理されます。


もっと詳しく知りたい人のために

 解放より60年目の2005年、「韓国」において日帝植民地時代の遺産である戸籍の廃止が決定しました。昨年3月、男尊女卑の封建的因習が根強く反映されている「戸主制度」などを完全に廃止する民法改正が行なわれ、2008年1月までに戸籍法に代わる新しい身分登録法が施行されことになったのです。詳細は、『人権と生活20号・解説B』、『在日コリアン暮らしの法律Q&A』などをご参照ください。








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