■セセデ2006年 2月掲載
4月から東京の医大に進学することになり、大学周辺でアパートを探していました。ひとつ気に入った所があったのですが、家主から朝鮮人であることを理由に入居を拒否されました。こんな差別的理由による入居拒否、許されるの?
4月からの進学、就職、結婚といった新しい生活へ踏み出す前に、賃貸アパートなどを探しているセセデ読者も少なからずいらっしゃると思いますが、今回のような、「朝鮮人お断り」「外国籍の人にはアパートを貸したくない」といった偏見に基づいた露骨な入居差別は、昔も今も起きている深刻な人権侵害です。 そもそも国籍や民族、また皮膚の色によって入居を認めないというのは法律上も許されるものではありません。 在日外国人への入居差別に対しては、1993年に大阪地裁が家主に損害賠償を命じた「裴健一裁判」があり、2003年1月にはインド人に対して執拗に皮膚の色を問いただした不動産業者に対し、さいたま地裁が損害賠償を命じました。またここ数年、外国人の入店を拒否した静岡県浜松市の宝石店や、入浴を断った北海道・小樽の銭湯に対し「人種差別」だということで損害賠償を命じた裁判例もあります。しかし本来裁判によって問題解決を図る目的は損害賠償金を得ることではなく、理不尽な民族差別に基づく入居拒否に対する異議申立てであるにも関わらず、被害者の方が「お金欲しさ」などと誤解を受けたり、加害者の真の反省が見られないこともあります。そのうえ裁判は時間もコストもかかり労力も要するので、実際には多くの人が我慢し泣き寝入りしている状況もあるようです。 しかし、不当な差別に対して声をあげなければ現状を打破できません。入居差別に直面した際には、人権協会など同胞団体に連絡して下さい。入居に際してのトラブルを避けるため、同胞団体が有している入居支援システムも有効に活用したいところです。また、日本において差別的理由に基づいた入居拒否は人権侵害であるとの認識をきちんと家主や世間一般に根付かせ、被害者が訴訟という手段に訴えずとも真に救済されうる法制度の確立と、多くの諸外国で既に機能している迅速性と実効性を伴った国内人権救済機関の設置が急務であるといえるでしょう。
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